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山口 義仁; 勝山 仁哉; Li, Y.
Proceedings of 2018 ASME Pressure Vessels and Piping Conference (PVP 2018), 8 Pages, 2018/07
設計上の想定を超える地震荷重下における亀裂を有する配管の構造健全性を評価するためには、地震時の亀裂進展評価手法が必要である。本研究では、ニッケル合金の異材溶接部を対象として、まず、中央亀裂付平板試験片を用いた実験的及び解析的検討を通じて地震時亀裂進展評価手法を提案した。そして、ステンレス鋼管と炭素鋼管をニッケル合金で溶接した異材溶接配管試験体を製作し、この試験体に模擬地震応答荷重を負荷することによる亀裂進展試験を実施することで、試験と提案手法から得られた亀裂進展量を比較した。提案手法により予測された亀裂進展量は試験結果とよく一致し、提案手法の妥当性が確認された。
伊藤 裕人*; 鬼沢 邦雄; 柴田 勝之*
JAERI-Data/Code 2005-007, 118 Pages, 2005/09
軽水炉構造機器の健全性に関する研究の一環として、確率論的破壊力学解析コードであるPASCAL-SC及びPASCAL-EQを開発した。これら両コードは、安全上重要な配管溶接部の破損確率をモンテカルロ法により評価するものである。PASCAL-SCは経年劣化事象として応力腐食割れ(SCC)を対象とし、またPASCAL-EQは地震荷重等による疲労き裂進展を対象としたコードである。これらのコードは、破壊力学の最新の知見や計算機性能向上を踏まえ、非定常な地震荷重によるき裂進展が評価可能であると同時に、応力拡大係数や破断判定法に最近の破壊力学的知見が盛り込まれている。また、GUIによる入力データ作成,解析(計算)実行,解析結果のグラフ描画が可能であり、操作性の向上も図られている。本報告書は、PASCAL-SC及びPASCAL-EQの使用方法と解析理論及び手法をまとめたものである。
槇 彰; 佐本 寛孝; 田口 克也; 佐藤 武彦; 清水 亮; 庄司 賢二; 中山 治郎
JNC TN8410 2001-012, 185 Pages, 2001/04
本資料は、平成13年3月14日に日本原燃(株)六ヶ所事務所にて開催した「第三回東海再処理施設技術報告会」の予稿集、OHP、アンケート結果を報告会資料としてまとめたものである。東海再処理施設技術報告会は、これまでに2回開催されており、第一回は「東海再処理施設の現状、今後の計画」について、第二回は「東海再処理施設の安全性確認作業」について、東海再処理施設においてこれまでに得られた技術・知見等を紹介してきた。今回第三回は、「東海再処理施設の腐食・ISIに関する実績と今後の計画」について東海再処理施設においてこれまでに得られた技術・知見等の報告を行ったものである。
月森 和之
JNC TN9400 2000-086, 103 Pages, 2000/08
「もんじゅ」2次系床ライナのナトリウム漏えい時の機械的健全性を評価するため、溶融塩型腐食による減肉を考慮した有限要素法による非弾性解析が行われている。ライナは薄板であるため、全体の変形を捉える上ではシェル要素モデルで十分であるが、局所的ひずみの取扱いには限界がある。一方、形状不連続部の局所的ひずみを精度良く扱うためには3次元ソリッド要素によるモデル化が必要となるが、実機モデル規模の解析を行うことは困難である。しかし、シェル要素による全体モデルの解析結果から境界条件を抽出し、それを3次元ソリッド要素による部分モデルの周辺境界条件として受け渡す手法が確立されれば、局所的ひずみを直接精度良く評価することが可能となる。本研究の目的は、構造不連続部における変位の受け渡しの際に問題となる要素の違いによる境界での変位の不整合を処理する手法を検討するとともに、これらの手法を組込んだインターフェース・プログラムを作成・検証し、「もんじゅ」の機械的構造健全性を評価するための非弾性解析に適用を可能にすることにある。得られた主な結果は次の通りである。(1)T字やL字コーナー部では2方向のシェル要素で囲まれる領域を定義し、距離に基づく重み関数を導入することにより、また、ライナプレートとフレームの接合部では4節点長方形板曲げ要素の内挿関数を利用して境界での変位の連続性が保たれるような処理の方法を提案した。(2)上記手法を組込んだインターフェース・プログラムの作成・検証を行い、FINASのシェル要素(QFLA4S)の解析結果から得られた変位がソリッド要素(HEX20)による部分モデルの周辺境界に受け渡たされていることを確認した。(3)「もんじゅ」2次系床ライナの減肉連動非線形解析に適用し、ひずみ防止リブ端の溶接部におけるひずみを直接評価して、シェル要素では厳密に捉えることが困難な局所的なひずみ挙動を求めることができることを示した。なお、本事例について、部分ソリッド要素モデルによる解析結果との比較から、シェル要素モデルによる解析結果はひずみを保守的に算出していることを確認した。
門馬 義雄*; 山崎 政義*; 永江 勇二; 加藤 章一; 長谷部 慎一; 青砥 紀身
JNC TN9400 2000-044, 22 Pages, 2000/03
高速炉プラントの新構造材料および寿命診断技術の開発では、従来強度評価の補強資料として定性的理解のみに用いられてきた材料組織の微視的観察結果とその分析データを定量的に把握し、組織変化が材料特性におよぼす効果あるいは相関性を評価する手法の確立が必要である。特に炉心構造健全性を保証するために、溶接継手部における高温長時間強度特性と組織変化の関係を明らかにする技術開発のニーズが高い。このため、高速炉容器の溶接金属について、クリープによる組織の経時変化を定量化する技術に取り組んだ。本研究では、まず高速炉容器用に開発された316FR鋼を母材として、16Cr-8Ni-2Moおよび共金系(18Cr-12Ni-Mo)の溶接金属のクリープ試験を823および873Kで行い、37,000hまでのクリープ破断データを取得することにより、そのクリープ特性を明らかにした。さらにクリープ破断した試験片平行部の組織観察を行い、析出物の面積を定量化し、その経時変化とクリープ損傷の対応についての検討を行った。溶接金属のクリープ強度は高応力短時間側で16Cr-8Ni-2Mo系が共金系よりも小さいが、低応力長時間側では16Cr-8Ni-2Mo系と共金系のクリープ強度が同等になる傾向がみられた。また、クリープ破断延性は16Cr-8Ni-2Moの方が共金系よりも優れていることがわかった。さらに、溶接金属の823Kでの低応力長時間および873Kではフェライト中に析出した相界面に発生する割れがクリープ破壊の起点となることを明らかにした。16Cr-8Ni-2Mo系溶接金属の析出量はいずれの温度時間においても共金系溶接金属よりも少ない。析出物の変化はマグネゲージで測定した残留フェライト量の変化と良く対応しており、フェライト量が時間の経過と共に減少するのに伴い、析出量は増加することを明らかにした。16Cr-8Ni-2Mo系溶接金属のクリープ破断材平行部の析出量とクリープ破断時間(対数)との関係をLarson-Millerパラメータ(LMP)で整理すると、1次式で表すことができ、この式から16Cr-8Ni-2Mo系溶接金属の析出量の予測が可能になった。
柳澤 一郎*; 重 隆司*; 加口 仁*; 冨松 実*; 佐郷 ひろみ*; 内藤 大靖*; 中村 和博*
JNC TJ8400 2000-049, 161 Pages, 2000/02
本研究では、溶接部の設計手法について見通しを得ることを目的に、溶接部の基礎データを取得し、これを用いた破壊予測解析等を実施した。各項目の成果は下記の通りである。1)供試体の設計および電子ビーム溶接、TIG溶接、MAG溶接を選定し、溶接部の品質が実オーバーパックと同等となるよう溶接条件を検討した。2)供試体の製作 電子ビーム溶接とTIG溶接、MAG溶接の供試体3体を製作し、溶接部の品質がJISZ31041類以上であることを確認した。3)強度試験片等の採取・加工 溶接後の各供試体から試験片を採取し、腐食試験用試験体をサイクル機構殿へ納入した。4)強度試験および組織観察 引張試験は室温と150、破壊靭性試験は0と150で実施し、応力ひずみ曲線とJ-R曲線、ビッカース硬度などを取得すると共に、ミクロ組織、マクロ組織を観察した。5)評価 試験結果から得られた溶接部データを用い、「第2次とりまとめレポート」のオーバーパック構造を対象に、破壊予想解析ならびに溶接欠陥による不安定破壊の評価を実施し、下記の結論を得た。・評価対象としたオーバーパック構造では、破壊荷重に対する溶接部の影響(材料特性、残留応力)ならびに製作公差の影響は無視できる。・さらに板厚を減じた設計でも、崩壊が胴中央部から生じるため、破壊荷重への溶接部の影響は少ないと判断された。・不安定破壊に至る欠陥寸法は10mm程度となり、現状の非破壊検査で検出可能なレベルである。この結論は、板厚を減じた設計でも同様と考えられる。
柳澤 一郎*; 重 隆司*; 加口 仁*; 冨松 実*; 佐郷 ひろみ*; 内藤 大靖*; 中村 和博*
JNC TJ8400 2000-048, 30 Pages, 2000/02
本研究では、溶接部の設計手法について見通しを得ることを目的に、溶接部の基礎データを取得し、これを用いた破壊予測解析等を実施した。各項目の成果は下記の通りである。1)供試体の設計および溶接施工条件の検討 溶接方法として電子ビーム溶接、TIG溶接、MAG溶接を選定し、溶接部の品質が実オーバーパックと同等となるよう溶接条件を検討した。2)供試体の製作 電子ビーム溶接とTIG溶接、MAG溶接の供試体3体を製作し、溶接部の品質がJISZ31041類以上であることを確認した。3)強度試験片等の採取・加工 溶接後の各供試体から試験片を採取し、腐食試験用試験体をサイクル機構殿へ納入した。4)強度試験および組織観察 引張試験は室温と150、破壊靱性試験は0と150で実施し、応力ひずみ曲線とJ-R曲線、ビッカース硬度などを取得すると共に、ミクロ組織、マクロ組織を観察した。5)評価 試験結果から得られた溶接部データを用い、「第2次とりまとめレポート」のオーバーパック構造を対象に、破壊予想解析ならびに溶接欠陥による不安定破壊の評価を実施し、下記の結論を得た。・評価対象としたオーバーパック構造では、破壊荷重に対する溶接部の影響(材料特性、残留応力)ならびに製作公差の影響は無視できる。・さらに板厚を減じた設計でも、崩壊が胴中央部から生じるため、破壊荷重への溶接部の影響は少ないと判断された。・不安定破壊に至る欠陥寸法は10mm程度となり、現状の非破壊検査で検出可能なレベルである。この結論は、板厚を減じた設計でも同様と考えられる。
本間 信之*; 千葉 恭彦*; 棚井 憲治
JNC TN8400 99-049, 94 Pages, 1999/11
本報では、高レベル放射性廃棄物の地層処分の人工バリアを構成する要素の一つであるオーバーパックについて、複合オーバーパックの現有技術での製作可能性を確認するために実規模容器での試作を行った結果を報告するものである。耐食層の材質については、超長期の耐腐食性が期待できる無酸素銅を選択した。複合構造については、耐食層である銅の外容器と、強度部材となる炭素鋼の内容器からなる2重容器構造とした。試作は銅製外容器のみ実施した。無酸素銅およびリン入り無酸素銅を用いて両者の比較を行った。製作方法については、胴部および底部については後方押出し加工による一体成形法とし、蓋部については本体との溶接を電子ビーム溶接法を用いて行うことした。試作後、容器から採取した試験片を用いて各種機械試験を実施し、今回採用した銅製外容器の後方押出し加工による製作方法は、現有技術で十分に対応可能であることを確認した。蓋の溶接部については超音波深傷試験を実施し、電子ビーム溶接の適用性を確認した。またオーバーパック寿命期間中にガラス固化体から発せられる放射線による炭素鋼内容器の脆化の程度を検討した結果、無視できるレベルであることが分かった。最後に今後検討されるべき課題をまとめた。
本間 信之*; 千葉 恭彦*; 棚井 憲治
JNC TN8400 99-047, 54 Pages, 1999/11
本報では、高レベル放射性廃棄物の地層処分の人工バリアを構成する要素のうち、オーバーパックについて、第2次とりまとめにおいて提示した炭素鋼オーバーパックの仕様例に対する設計の考え方を中心に、複合オーバーパックの概念の紹介も含め、設計要件、構造設計、製作性および検査性の観点から検討を行った結果を報告するものである。まず、人工バリアの構成要素としてのオーバーパックに求められる設計要件および設計の前提条件をまとめた。候補となる炭素鋼材料については、一般に鍛鋼、鋳鋼、圧延鋼などが用いられるが、軽水炉の圧力容器等にも使用実績の豊富な鍛鋼を選定した。次に炭素鋼オーバーパックについて、処分後に想定される荷重条件の設定を行い、耐圧厚さを決定した。加えて、腐食量の検討から想定寿命期間中の腐食厚さを求め、さらに、腐食に影響を及ぼす地下水の放射線分解防止のためのガラス固化体からの放射線の遮へいに必要な厚さを検討したうえで、オーバーパックの必要板厚を求め、炭素鋼オーバーパックの仕様例として提示した。板厚は190mmとなり、第1次取りまとめ時(平成3年)に設定した仕様と比較して、30%の低減となった。また、オーバーパックを実際に製作し、操業時の利用に当たり考慮されるべきいくつかの点、すなわちガラス固化体の封入、本体および封入溶接部の検査、ハンドリング機構等について、現状の技術をベースに検討を行い、検討すべき課題の抽出と今後の見通しをまとめた。複合オーバーパックの概念については、炭素鋼オーバーパックとの設計の考え方の相違点を中心に紹介した。最後に、今後のオーバーパックの研究開発において検討されるべき課題およびその見通しをまとめた。
浅山 泰; 川上 朋広*
JNC TN9450 2000-002, 335 Pages, 1999/10
本報告書は、これまでに取得してきたSUS304鋼溶接部に対する材料試験データをまとめたものである記載したデータ点数は以下の通りである・引張試験 71点(照射有 39 無 32)・クリープ試験 77点(照射有 20 無 57)・疲労試験 50点(照射有 0)・クリープ疲労試験 14点(照射有 0)本データ集は「FBR構造材料データ処理システム(SMAT)」の帳票出力したものである。
沼田 和明; 大谷 誠二; 棚井 厚夫*; 豊田 裕昌*; 高橋 秀樹*; 後藤 達朗*
JNC TN8430 2000-001, 23 Pages, 1999/09
「もんじゅ」取替炉心燃料集合体用要素部材の購入(第3回購入)において、部材製作の契約メーカである(株)日立製作所より、生産性向上を目的とする合理化案として、下部端栓・上部端栓・プレナムスプリングの部分的寸法変更の提案がなされた。この寸法変更が燃料製造工程内の各種設備、装置等との取り合い上及び燃料要素の製品スペック上において、問題とならないかどうかを検討した。検討の結果、下部端栓及び上部端栓の溶接部寸法の変更提案は、容認できる可能性があると判断し、試作品の提供を受け溶接試験等の結果をもって、今回の提案の採用可否を判断することとしたものである。試験の結果としては、現行の下部端栓の溶接部規格であるR0.03mm(嵌合部の曲率半径)・5.53+- 0.01mm(嵌合部の外径)をR0.05mm・5.53+-0.02mmに変更しても溶接性及び溶接部の健全性には問題ないことを確認した。本報告書は、提供を受けた中の下部端栓について、溶接及び各種試験を実施した結果を報告するものである。
海老根 典也; 荒 克之
日本応用磁気学会誌, 22(4-2), p.905 - 908, 1998/00
圧力容器肉盛溶接部厚さについて、非破壊的に磁気計測により測定する実験を行い、その測定法について検討した。圧力容器の板厚を模擬した鋼材に磁気ヨークを取り付て、磁化する過程での鋼材表面上の磁界分布を測定し、磁気ヨーク近傍の磁界分布の中央値と半値幅が肉盛溶接部厚さによってどう変化するのかを調べた。その結果、十分に磁化した状態では、起磁力で基準化した磁界の中央値は厚さに対して単調減少し、半値幅は単調増加する関係が得られた。圧力容器の鋼材を変えた場合にもこの関係が得られた。これにより、肉盛溶接部の厚さが、磁界分布の中央値及び半値幅から決定できることが分かった。
加藤 千明; 本岡 隆文; 木内 清
Proc. of 5th Int. Nucl. Conf. on Recycling, Conditioning and Disposal (RECOD '98), 3, 7 Pages, 1998/00
再処理施設の反応機器に使用されるジルコニウムは、優れた耐食性を有するが、沸騰硝酸溶液中では応力腐食割れを示す。特に、溶接部において応力腐食割れが加速する可能性がある。当該研究では、ジルコニウムTIG溶接を行い、溶接継手の各部位から切欠付試験片と平滑試験片を製作しSCC感受性の違いをSSRT法により評価した。シリコーンオイル環境と硝酸溶液環境の応力-時間曲線、破断寿命及び波面形態等の比較から、母材に近いHAZ部が最も高いSCC感受性を示すことが明らかになった。
海老根 典也; 荒 克之
電気学会マグネティックス研究会資料, p.37 - 41, 1997/07
圧力容器肉盛り溶接部厚さの非破壊計測について、磁気的手法で測定する実験を行い、検討した。圧力容器の板厚を模擬した鋼材に磁気ヨークを取り付けて、磁化する過程での鋼材表面の磁界分を測定し、磁気ヨークの磁極近傍の磁界分布の中央値と半値幅が肉盛り溶接部厚さによってどう変化するかを調べた。その結果、十分磁化した状態では、起磁力で正規化した磁界の中央値は厚さに対して単調減少し、半値幅は単調増加する関係が得られた。圧力容器の鋼材を変えた場合にもこの関係が得られた。これより、肉盛り溶接部の厚さが、磁界分布の中央値及び半値幅から決定できることが分かった。
西山 元邦; 関 正之; 石橋 藤雄; 塚田 竜也*; 上村 勝一郎
PNC TN8410 96-037, 56 Pages, 1996/01
抵抗溶接法は、TIG溶接法等にくらべ溶接時の入熱量が非常に少なく、母材に極力影響をあたえずに接合できるため、酸化物分散強化型鋼(以下「ODS鋼」と言う)の溶接手法として有望と考え、溶接装置を開発した。しかし、本溶接法を用いてODS鋼の基本特性把握試験を行った結果、高温(650度C)引張試験において、接合部からの破断となり、また、引張強さも母材より低下するといった現象が生じた。そこで、今回は、接合部の強度を低下させる要因を究明するために、溶接条件にパラメータを取り試験片を製作し、各種強度試験と破面の観察およびTEMを用いて接合部の観察を行った。本試験、観察から得られた主な知見は、以下の通りである。1.主に接触抵抗を利用した場合の溶接試験(1段溶接)(1)接合部の硬さは母材よりも150Hv程度軟化し、これまでの結果と比べ改善は認められなかった。また、180kg程度の低い加圧力の場合においては、溶接の再現性が得られなかった。2.主に体積抵抗を利用した場合の溶接試験(2段溶接)(1)溶接電流および溶接時間は、硬さの変化にあまり影響をあたえず、加圧力を600kgfと大きくすると、硬さ低下は50Hv程度と非常に小さくなることが分かった。(2)金相上良好な接合部の得られる条件は、予熱電流7KA2cycle、溶接電流1314KA0.60.9cycle、加圧力180600kgfの範囲であった。(3)常温から650度Cの引張試験、650度Cの単軸クリープ試験では、加圧力の高い方が強度は強くなった。引張試験においては、加圧力の高い600kgfの場合は被覆管母材部からの破断となったが、単軸クリープ試験においては、どの条件の場合も接合部からの破断となってしまい、長時間側になるほど母材との強度差が大きくなった。(4)接合部のTEM観察においては、Y、Ti等の酸化物の粗大化が生じ、加圧力の増加に伴いその領域は狭くなった。分散材の粗大化が生じたのは接合部の温度が融点付近まで上昇したことが考えられる。なお、接合部の組織は、どの溶接条件においても再結晶組織になっていた。強度低下が生じるのは、接合部の粒界滑りおよび分散材の凝集、粗大化が原因であり、酸化物の凝集領域が狭いほど接合部の高温強度は強くなり、凝集領域の幅は接合部に加わる加圧力と相関のあることが分かった。(5)SEM観察による破断面の形状
加治 芳行; 菊地 賢司; 武藤 康
日本機械学会論文集,A, 61(586), p.1145 - 1152, 1995/06
空気中900Cで母材及び溶接部を有する試験体について、完全両張り変位制御の面内及び面外曲げ疲労試験を行い、破損サイクル数に及ぼす保持時間及び変位速度の影響について実験的に調べた。また有限要素法を用いた弾性クリープ解析を行い、破損寿命の予測を行った。その結果、以下の結論を得た。(1)最大変位で保持時間を挿入することにより破損サイクル数は急速に小さくなる。(2)溶接部の健全性は確保されている。(3)クリープ構成として2次クリープのみのNorton型の構成式を用いた方が、1次+2次クリープを考慮したGarofalo型の構成式を用いた場合に比べて安全側の破損寿命予測結果となる。(4)解析に用いる要素として、梁要素と厚肉シェル要素を用いた場合とでほぼ同等の破損寿命を予測する。
渡辺 勝利; 中島 甫; 小池上 一*; 樋口 洵*; 仲西 恒雄*; 斉藤 貞一郎*; 高津 玉男*
JAERI-Research 95-001, 58 Pages, 1995/01
HTTR実機用ハステロイXRと同一ヒートの母材および実機用溶加材を用いて、母材および溶接部材の大気中クリープ特性を検討し、次のような結果を得た。クリープ破断強度については、ハステロイXRのマスターカーブと同等以上であり、設計破断応力強さ〔S〕を十分に上回っていた。さらに、これらの溶加材のクリープ破断強度およびクリープ破断延性は、従来のハステロイXR系溶加材のクリープデータと較べても、そのデータバンドの中に位置していることから、ハステロイXR高温溶接構造物溶加材として充分な適性を有していることが結論された。
荒 克之; 坂佐井 馨; 岸本 牧; 海老根 典也; 中島 伸也
日本応用磁気学会誌, 19, p.493 - 496, 1995/00
圧力容器鋼材の中性子照射による保磁力変化に着目した圧力容器劣化の非破壊計測法として「磁気問いかけ法」が提案されており、この方法においては圧力容器に内張りされた非磁性の肉盛り溶接部の厚さを知る必要がある。この厚さを非破壊的に計測する方法を静磁界解析により検討した。磁気ヨークを圧力容器内壁に取りつけ、肉盛り溶接部を通して磁化するとき、磁気ヨーク近傍の容器内壁面の磁界分布の中央値Hmと半値巾W1/2が肉盛り溶接部厚さgによってどう変化するかを解析した。その結果、起磁力で正規化したHm/NIはgに対して単調減少、半値巾W1/2は単調増加するという関係曲線が得られた。この関係曲線は圧力鋼材の速磁率が500以上では不変となり、gを求めるための校正曲線として使用できることがわかった。これより、肉盛り溶接部厚さgはHm/NIおよびW1/2を計測するような非破壊手法で計測可能であると結論した。
渡辺 勝利; 中島 甫; 斉藤 貞一郎*; 高津 玉男*; 小池上 一*; 樋口 洵*
JAERI-M 94-081, 24 Pages, 1994/06
HTTR実機用ハステロイXRの総合特性評価の一環として、母材および溶接継手の時効に基づく引張特性変化を検討した。800、900および1000Cにおいて1000hの時効を施した後、室温および時効温度と同一の試験温度における大気中引張特性試験を行った。得られた結果は従来材と較べて、強度特性に関しては著しい差異は見られず、また延性に関しては、従来材のデータバンドの中に位置していた。これらのことから、実機用母材および溶加材は優れた引張特性を有していると言える。
荒 克之; 坂佐井 馨; 岸本 牧; 海老根 典也; 中島 伸也
MAG-94-24, p.43 - 52, 1994/03
原子炉圧力容器劣化を非破壊的に測定する方法として磁気問いかけ法(MIM)を提案したが、この方法においては圧力容器肉盛り溶接部の厚さを事前に知っておかなければならない。この厚さを非破壊的に測定する方法を提案し、その方法の有効性をシミュレーション計算により明らかにした。圧力容器に磁気ヨークを取りつけて磁化したときの磁気ヨーク近くの圧力容器表面磁界分布を測定する。その分布の中央値および半値巾を求めると、励磁電流で正規化した中央値および半値巾は、圧力容器の透磁率に無関係に、肉盛り溶接部の厚さによってのみ定まることがわかった。したがって、逆にこの正規化中央値または半値巾を測定することによって肉盛り溶接部の厚さを知ることができる。